羨ましい耿淑夜の特技
所々、話が上手く進みすぎてるような気もしなかったわけではないが、全体的に高く評価できる。
史実とは無関係で奇奇怪怪な人物が複数登場する伝奇小説。
人間ならざる者、普通の人であれば本来ない能力の者が活躍している。
兵法云々という印象、戦いの醍醐味が若干薄く感じられるのは仕方ないか。
1巻を読んでいるうちはそうでもなかったが、読み続けるうちに、どうもしっくりこなくなってきた。
突出した技能を持つ者が活躍する姿をみるのは楽しいが、あくまで通常レベルの人間が基準な場合。
どうしても傑出している人物に目がいきやすいし、特異な能力者がいれば、話の展開に無理がきいてしまう。
本来ならば求めるものが違ったのかと思いつつ、読みたかった、耿淑夜と無影のひとときの邂逅場面へ。
この二人のこれからの経緯が気になるし、すぐに読み終えてしまうのが少し残念なので
休憩して(間をおいて)から続きを読もうと思う。
少なくない登場人物の性格が多様ながら、書き分けているのは見事。
赫螺旋 動く
物語は<征>の魚支吾、<衛>の耿無影、<容>の段大牙の三竦み状態に<琅>の赫螺旋が参戦し、中原制覇の行方は混線状態。正直何処が残るのかどうなって行くのか、一度読んでいるにも関わらず解かりません。夫々がお互いの腹の内を読みながら秘密裏に交渉などを進めるのだが、彼等の共通の頭痛の種が「人材育成」であるところが面白い。政治向きの人材育成の塞として「大学」を設置する<衛>と<征>、赫螺旋の指揮の元騎馬兵の強化に勤める<琅>、そして、ようやく人材の発掘が国の有様を左右することに気付く<容>の耿淑夜と、悩みは同じでも模索する方向は様々。こういった細部の描写は流石井上さんというところ。単純な国と国が戦争をして「勝った」「負けた」の戦記ものではなく、敵対関係にある国夫々のお家事情の上に「如何にして相手をだしぬくか」という政治が描かれているので、読んでいて飽きない。 本作で段大牙は耿無影と密談を行うが、ここで段大牙は兄士羽が世継の位を譲るだけの器があるところを証明してくれる。前作までの知略より腕力勝負の武人、まるで大きな子供のように描かれていたのとは対照的。かなりイイ漢である。それだけに当巻末の結末は呆然。
中央公論新社
五王戦国志〈5〉凶星篇 (中公文庫) 五王戦国志〈6〉風旗篇 (中公文庫) 五王戦国志〈8〉天壌篇 (中公文庫) 五王戦国志〈2〉落暉篇 (中公文庫) 五王戦国志〈3〉埋伏篇 (中公文庫)
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